表彰式レポート
新しいプロダクトのデザインを募る「18th SHACHIHATA New Product Design Competition(シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション)」の表彰式を、2025年10月10日(金)に開催しました。
過去最多となる応募作品1,681件より厳正な審査のもと選ばれた、受賞作品全9点の発表と表彰を実施。また、デザインの発展を牽引し続けている審査員の中村勇吾氏、原研哉氏、三澤遥氏、ゲスト審査員の大西麻貴氏、モデレーターとしてデザインライターの角尾舞氏に登壇いただき、審査講評やトークショーを行いました。なお、審査員の深澤直人氏はご都合により欠席でしたが、当日には温かなビデオメッセージをお寄せくださいました。
さらに、表彰式では次回の開催決定も発表。詳細は後日公開となります。
◆表彰式の様子
◆受賞作品
グランプリ「ライン印」 品田 聡
シンプルな一本の短い線が押せるハンコです。線同士をつなげたり、模様のように組み合わせたり、手書きの文字や印刷物に線を添えたりできます。使い方次第でさまざまな表現ができるので、どんどん押して、どんどんつなげたくなる「しるし」の提案です。
準グランプリ「hitohira」 畠中正太郎
直線と曲線がつながり、連なり、文字は意味を宿す。ゆらゆらと舞う木の葉のように、アクリルの中に浮かぶ無数の線。散らばって見えるその断片も、上から覗けばひとつの名前を描き出します。線をつなぎ、言の葉を紡ぐ。そんな文字の美しさを再認識できるしるしです。
準グランプリ「どすこい!シート」 千勝美南/中嶋琴子(チーム名:KO-MI)
レジャーシートを広げれば、そこは土俵に!友だちと、家族と、たまたま公園にいた誰かと—「はっけよい、のこった!」のかけ声で、思いがけないPLAYが始まるかもしれません。ただの地面がしるしひとつで「人と人が身体を交わしてつながるステージ」になるのです。
審査員賞 中村賞「気配灯」 北島 鮎/鹿島理佳子(チーム名:鮎鹿)
元気で暮らしているか気になるけれど、毎日連絡を取り合うのはなんだかちがう。そんな人と、うっすらとした気配でつながり合う壁掛けの明かりです。明かりは対になっていて、一方の近くを通ると、もう一方がゆらめきます。離れて暮らす大切な人と、絶妙な距離感でつながるしるしの提案です。
審査員賞 原賞「苗字カルタ」 マシモモモコ
全国にはユニークで興味深い苗字がたくさん!そんな日本の苗字を楽しく学べるカルタです。苗字を知ることは、自分のルーツをたどり、誰かとつながること。背景にある歴史や地名を知るなど、カルタを通して未知の苗字に触れれば、ふだん気に留めない「名前」が少し特別に見えてくるはず。
審査員賞 深澤賞「Pum!」 濱口真里
赤ちゃんのほっぺたのように柔らかいしるしです。肌に触れるようにやさしく押すと、手のひらのぬくもりで想いがじんわりと滲みます。送る人への「ありがとう」や「おめでとう」の気持ちを手のひらに込めて伝えることができる、柔らかなふれあいを介したしるしの提案です。
審査員賞 三澤賞「ハンコドリ」 徳山 洋
人を表す「顔」のような存在である名前と、古くからヒトの生活のそばにいるトリの愛嬌のある姿を組み合わせることで、ハンコという道具がそばに置いておきたくなる愛玩物や民芸品のような存在に。トリをイメージしたボリュームのあるボディは、押印の際はグリップとしても機能します。
審査員賞 大西賞「笛印鑑」 松村佳宙
印鑑と防災用のホイッスルを組み合わせたしるしです。普段はあなたを証明する印鑑として、いざという時は周囲にあなたの存在を知らせ、助けを呼ぶホイッスルとして機能します。目に見えるところに置いたり、持ち歩いたりすることで日常と安心をつなげ、時には命もつなぐ「しるし」の提案です。
特別審査員賞「YA.JIRUSHI→」 松尾清晴
重要なことを伝える時、矢印を使った経験は誰にでもあるはず。それはミスを防いだり、強調したり、認識を合わせたりと、誰かへわかりやすく想いを伝えるためです。YA.JIRUSHI→は、そんな矢印の先端をマスキングテープの端に印字することで、人から人へ思いをつなぐためのしるしです。
表彰式撮影:井手勇貴