――今回、大西麻貴さんがゲスト審査員として参加されます。大西さんの作品の印象を教えてください。

大西さんのプランで最も印象に残っているのは「SDレビュー2007」の展示会場で拝見した「千ヶ滝の別荘」の模型です。大西さんが百田有希さんと共同設計されたもので、会場の中で独特の存在感を放っていました。森の中でふと出会ってしまった山の主のような存在は、人だけでなく、周辺の生き物たちも安心して集まってきそうで。とんがり屋根だけが浮いたような建築は、都心にあったら奇抜ですが、森にあると擬態して消えてしまう。自然に近い状態を建築で探られているのかなと面白く感じました。

――今回、岡崎智弘さんがゲスト審査員として参加されますが、岡崎さん自身や作品の印象を教えてください。

去年、亀倉雄策賞の準備で岡崎さんと関わりました。途中経過を見せてもらったり、一緒に新潟の展示に行ったりするなかで持った印象は「迷わない人」です。提案を共有するときのポジティブなパワーがすごく強くて、みんなに輪を広げていくというか、それに乗っかると素敵な世界が見えるようなイメージでしょうか。一人で黙々と作っている印象が強かったのですが、会ってみると周りを巻き込んでいくパワフルな人だと感じます。「これ良いでしょう」って目を輝かしながら何かを見つけてきて、それを人に共有する言葉や伝え方を持っていらっしゃいます。

――今回、岡崎智弘さんがゲスト審査員として参加されますが、岡崎さんの作品の印象や、審査員として期待することはありますか?

グラフィックの業界だけでもないですし、マルチタレントでカテゴリーに縛られない方だから、審査員として適任者だと思います。コマ撮りのすごく細かい動きから見いだした「動くしるし」とでも呼べるものを生み出せる人ですよね。面白いアイデアを生み出して、繊細に動かし、のめり込んで作るさまをリスペクトしています。 こんなことインタビューで言うのもおかしいけれど、お会いした印象はかわいい人ですよね(笑)なんだか漫画チックで、人間受けする方だなと。威圧感を与えず、昆虫好きな少年みたいで、すごく好印象です。審査会で会えるのが嬉しいですし、同時に彼の目にかなうようなものが出てくればいいなと思います。彼がつまらないと言うものは、きっとみんなつまらないと思います。