表彰式レポート

新しいプロダクトのデザインを募る「19th SHACHIHATA New Product Design Competition(シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション)」の表彰式を、2026年10月9日(金)に開催しました。 応募作品1,610件より厳正な審査のもと選ばれた、受賞作品全8点の発表と表彰を実施。また、デザインの発展を牽引し続けている審査員の中村勇吾氏、原研哉氏、深澤直人氏、三澤遥氏、ゲスト審査員の辰野しずか氏、に登壇いただき、審査講評を行いました。なお今回、審査員賞の三澤賞と辰野賞については、同じ作品が受賞しました。

さらに、表彰式では次回の開催決定も発表。詳細は後日公開となります。

◆表彰式の様子


◆受賞作品

グランプリ「感謝材」 柴野 杏菜


緩衝材を「ありがとう」を伝えるしるしに変換する。ハニカムクッションペーパーを広げると、角度によってTHANK YOUの文字が現れます。モノを送る機会が増えた現代で多用される梱包材に、気持ちを届ける「しるし」を加えることで、受け取る瞬間に小さなよろこびを生み出します。

準グランプリ「縁取る印」 今井 大和


「縁取る印」は、薄い紙の縁にフィットする特殊な形状のマーカーです。紙の側面をなぞることで、縁が朱色に染まり、本やノートの小口にひと筋のしるしを刻みます。デジタルの海に消えゆく情報の輪郭を呼び戻し、現代の記録に揺るぎない意味を宿すための新しい「しるし」の提案です。

準グランプリ「きれいに押せる印鑑」 菊池 潤


直感的にきれいに押すことができる印鑑です。円盤状なので、印の近くを手で塞ぐことなく構えることができます。また、透明なので真上から位置を確認しながら押すことができます。手元の見通しをよくすることで、押印という行為を、従来よりも明瞭な意思表示へと変える、新しい印鑑のかたちです。

審査員賞 中村賞「KOKURI」 仙谷 日菜/郭 瓊嬪(チーム名:nekoze)


うなずきは会話に安心感をもたらす大切な「しるし」です。KOKURIは、WEB会議の画面上で、ユーザーの動きに合わせて名前のアイコンをうなずかせることができるアプリケーションです。顔を見せることなく「聞いていますよ」という意志を伝えて安心感を作り出す、現代の「しるし」の提案です。

審査員賞 原賞「私のプリン様」 秋本 賀珠


忙しい現代では、家族同士でも「楽しみに取ってある」「食べないでね」という小さなひとことを伝える機会が減っています。「私のプリン様」は、そのひとことの代わりに座布団を使いご褒美の存在を家族にやさしく伝えるしるしです。座布団の色を家族分用意すれば、楽しみをそっと守り合うことも出来ます。

審査員賞 深澤賞「pac」 志村 優


アレルギー特定原材料9品目それぞれを示すリボンで、どれが含まれているのかを視覚的に知らせるしるしです。「現代病」とも言われるほど、アレルギー疾患を持つ人が増加している今、含まれている材料をさりげなく明らかにすることで、安心して食べてもらうための気遣いの「しるし」の提案です。

審査員賞 三澤賞/辰野賞「手触りの鉛筆」 木下 快


表面のテクスチャーが、芯の硬さと対応している鉛筆です。手に取ると、感触から書き心地を無意識に想像してしまう。そんな触り心地を起点に、道具と体の関係を直感的なものへと変化させるプロダクトです。視覚的な記号でもなく、デジタルで発する信号でも無い、触覚だけで伝える「しるし」の提案です。

特別審査員賞「名古屋のしるし」 山内 可奈子/山内 真一(チーム名:kuli-kuli)

失われつつある印鑑文化を「食べられるハンコ」として再編集し、未来へ残す試みです。かつて日本では誰もが持っていた印鑑を、飴としておいしく楽しみながら知る、新しい文化継承の形を提案します。菓子問屋や駄菓子文化が根付く名古屋の地域性も取り入れた、文化と食が結び付いた土産でもあります。

表彰式撮影:木澤淳一郎