パンデミック以降、人と会う機会は減りましたが、会話は減っていません。対面で話す方が気持ちが伝わると言われがちですが、僕は最近むしろ逆だなと思っています。会って話すと表情や動作など、すべての態度が見える分、対話自体の内容は薄くなることもある。ショートメッセージやSNSを通じたやり取りでは、たしかに相手がどういう状況にあるのかはわかりません。相槌を打ってくれているのか、どんな表情なのかもわからない。それを僕たちは、メッセージの句読点や、「!」や、絵文字などの些細な表現から推し量ります。そういう小さな、ある意味では容易いコミュニケーションのしるしが、意外と人間の心に響くのだなと感じているんです。
このコンペでは毎年手を変え品を変え「しるし」をテーマにしていますが、そもそも「しるし」とはなんでしょうか。人は何をしるすのかというと、突き詰めれば「わたし」なんですね。だから僕は毎年、節目のように「わたし」について考えさせられます。